assistant English teacher、略してAET、英語指導助手の先生を活用した授業計画に悩む、という話をよく聞きます。
AETと授業をする上での悩みとは?
- AETと授業計画を相談する時間が十分に取れない
- AETがコミュニケーションに積極的でない(シャイな性格)
- AETの英語力に不安がある
- AETの作ってくれた活動内容・ワークシートのクオリティが低い
- AETの授業運びに不安がある
- AETに頼んだ準備を期限までに仕上げてもらえない
- AETとコミュニケーションをとる自分の英語力に自信がない
なんだか、ウソでしょ?と思うような項目が並んでいますが、私自身1から6まで実際に直面した困りごとです。
本当にあったAETの話
英語のネイティブの先生といえば必ずしも、明るく社交的でパワフル、というわけではありません。
わたしたちJETの性格にも様々あるように、本当にシャイな方や、控えめ、真面目だけれどちょっぴり融通が利かないタイプなど、本当にいろいろな方と一緒に授業をした経験があります。
自治体にもよるかも知れませんが、待遇に恵まれていないために、優秀な人材が年度途中で転職してしまったこともありました。
AETが第2母国語として英語を使ってきたものの、AET自身の人生で細かい文法を気にせずにやってこられたせいなのか、生徒の英作文を添削してもらったら間違いだらけだったこともあります。
アクティビティの企画能力に乏しく、英語力が怪しく、自分から積極的に授業を一緒に作っていく意欲に欠けているAETであれば、もはや必要ないのでは?とさえ思ってしまいますが、現状AETの制度がある以上、ぼやいていても建設的ではありません。
できる限り対策を立てて活用していきましょう。
ないものを嘆くより、配られたカードで勝負だ!
AETとのコミュニケーションの取り方
多くの悩みはコミュニケーションが足りないことなんだな。
まずは、AETの日本語理解能力を把握しましょう。
これは、時間割変更などのイレギュラーな事態にAET自身が自分で対応する力があるのか、こちらから伝えなければ理解していないのかを確認しておくためです。
机上に配られたプリント類を自分でその都度誰かに聞くなりして内容確認し、整理できるAETと、何がなんだかわからず溜めてしまって、結局学校行事や時間割変更が把握できていないAETがいます。
AETの机上の状態を一度見てみよう。
わかっていないAETの場合は、ちょっと声をかけてあげるとお互い誤解やイライラの元を事前になくせる可能性が高いです。
そして、言わずに期待するよりは、要望をはっきり伝えておきましょう。
例えば、「忙しくて、こちらから声をかける時間もない時があるから、悪いけれどその週の◯曜日までに何も相談ができていない場合、一度そちらからわたしに声をかけてもらえると助かるわ。」など。
AETとの授業計画のコツ
「次の時間何やる?ゲーム考えておいて!」とAETに丸投げするのはNGです!
立案がしっかりできる優秀なAETだとしてもです。
授業の進度予定表の中で、何をメインで扱いたい時限なのかしっかりとJETが手綱を握りましょう。
その上で、例えば「進行形を十分に練習させたいから、ゲーム形式で楽しみながら自然と何通りも進行形の文を言えるような活動にしたい。」などと具体的に活動の方向性を伝えるべきです。
経験豊富でアクティビティのアイディアを豊富にストックしているAETならば、ここまで言っただけで、「任せておいて!」と言ってくれるかもしれません。
わたしの経験上、それができるAETは10人にひとりかふたりくらいなのが現実です。
とはいえ、AETから素敵なアイディアが出てくる可能性もあります。ですから少なくともグループワークなのか、教室を動き回ってインタビューさせたいのか、書くという作業を入れたいのか、できるだけイメージを共有してください。
また、ワークシートの作成を依頼するときは、教科書の該当ページを必ず明示して、使用する言語材料、単語などの範囲も指定しておくのが賢明です。
自由に作ってもらうと確かに生きた英語になるのですが、未習の不定詞だとか発音の難しい単語が頻繁に登場して、生徒が混乱して活動の本筋でないところにエネルギーが取られてしまいます。
AETの能力によっては使用する単語のリストを渡して例文を仕上げてもらったり、一緒に考えたりすることもあります。
手間も時間もかかる作業ですが、数回一緒にやることで、AETにこちらの意図や授業で大切にしていることなどを理解してもらえ、だんだんやり易くなっていくことが期待できます。
具体的な授業アイディアについては、下のページを参考にしてください。
AETとコミュニケーションを取る自分の英語力に自信がない場合
コミュニケーションは気持ちだ!英語で足りない場合は日本語でもいいじゃない!
と言いたいところですが、日本語に堪能ではないAETの場合(実際その方が多い)授業をするとなるとそれでは足りないのが現実です。
お互いに理解したつもりでも、いざ授業が始まってみて伝わっていなかった部分から混乱を招くことは避けたいものです。
これに関する解決策としては、
- 大事なやりとりは、書いたものを見せて共有する。
- 遠回りでも英語のスピーキング力を磨く努力をする。
授業準備の際は、メモも活用しながらきちんと伝えていきましょう。AETとの授業アイディア具体例では、AETと一緒に活動する前に、何を依頼しておくのかまとめてあります。ぜひ参考にしてください。
それと同時に、コツコツとスピーキング力を磨いておきましょう。
AETと雑談しながらスピーキング力を磨ければ一石二鳥なのですが、実際にはそれほど空き時間がないのが現実です。
海外ドラマや映画が好きならば、動画配信サービスを利用するのが手軽な上に気分転換にもなりますね。さらには、授業で話すちょっとしたネタもストックされてしまいます。
中でも、シリーズもののドラマを見ると必ず繰り返し使われる表現があってとても頭に残ります。似たシチュエーションだけれど、毎回少しずつ違った場面で繰り返される表現は、最高の教材になります。理屈でなく、限りなく経験に近い形でその表現がインプットされるので、本当におすすめです。
AETができること
授業以外にも、AETの先生にやってもらえることってあるのかなぁ。
もちろんじゃ!いろいろあるぞ!
実はAETの先生たちも、頼られることをうれしく思っている場合がほとんどです。それぞれの得意、不得意や教材研究に使用できる空きコマの制限もありますから、コミュニケーションをとって、うまく分担できるといいですね。
テスト問題の作成を手伝ってもらう
もちろん、「過去形の穴埋め問題10問作ってね。」というように丸投げするという意味ではありません。しかし、JETが作った長文問題などを添削してもらえれば、時短にもなります。文法はもちろん、不自然な言い回しがないか、チェックしてもらうのです。また、問題を解いてもらうことで、想定外の回答が出てくる可能性も確認できるため、テスト採点時の悩みも事前に減らすことができます。