AETと方向性を共有して、オリジナルな授業を作るのも素敵ですが、「そんな時間ないよ!」って日もあるでしょう。残念ながら、AETにアイディアを出す経験や能力が不足している場合もあるでしょう。
ここでは、言語材料に合わせてカスタマイズしやすいアクティビティを紹介します。
AETには事前に何を準備しておいてもらえば良いのかもお伝えします。
AETとの授業アイディア具体例
Self-introduce AETの自己紹介
まず、AET初回の授業です。
AETの自己紹介をしてもらうことが多いでしょう。
勤務日初日に合わせて余裕を持って準備しておいてもらえるよう、事前の打ち合わせ時に依頼しておけるとスムーズです。
AETへの依頼内容
- 自己紹介には必ず故郷の紹介を入れて欲しい。国だけでなく、ホームタウンの特徴や産業、自然や文化、発達している交通機関など、テレビなどでよく目にするものにとどまらず、より限定的な情報がかえって面白い。
- 視覚的にわかるもの、ラミネートして黒板に貼れるサイズ(B4かA3)の写真か、USBに入れたデータでテレビやプロジェクターで映すデータなど。
- 生徒が聞きながらキーになる単語を選んで書いていけるようなワークシートがあるとなお良い。(英文を書くようなものだと聞くことが疎かになるので、なるべく簡単なものが良い。)
- 生徒の習熟度レベルを伝え、簡易な英語で生徒の反応を見ながら必要ならば繰り返したり、同じ内容を違う表現で言い直したりしながら進めて欲しいこと。
自己紹介はAETに全て任せるのではなく、JETもリアクションして見せたり、ちょっと深めたいところは質問を挟むなど、コミュニケーションを取っている姿を生徒に見せられると◎
後半に質問コーナーの時間を設けることが多いですね。生徒から質問が出ない時には、JETがいくつか質問して見せると、「どんな質問をするといいのか。」ということが分かってきます。
自分で動画やスライドを準備できるAETがいる一方で、自分の国の文化について理解の浅い、あるいは関心の低いAETもいる。そこで、裏技じゃ。YouTubeのExpedia Travel Guideの動画は、数分で魅力がグッと詰まっている上に英語のナレーション付き。AETと一緒に観た後で、いろいろ質問して引き出して見るのも効果的。
Jeopardy! ジェパディ! ゲーム
カタカナ表記だと「ジェパディ!」で、正しい発音は[ˈdʒepə(r)di]です。
もともとはアメリカで1964年から現在まで(!)放送されているクイズ番組です。要はクイズゲームなのですが、特徴的なのは、6つのカテゴリーごとに5つのレベルが設定され、解答者がレベルを選びます。もちろん、レベルが高いほうが多くのポイント(番組では賞金)がもらえます。
番組では問題文は事実として書かれ、解答者は質問文形式で答える形式です。例えば “It is the highest mountain in Japan.”と出題されたら、”What is Mt. Fuji like?”と答えるという具合です。
授業では “What is the highest mountain in Japan?” と出題し、”It’s Mt. Fuji.” あるいは “Mt. Fuji.”と解答させるほうが、シンプルでどの生徒にも分かりやすいでしょう。解答は完全な英文である必要があるか、単語だけでもよいか、解答の制限時間を設けるかどうかなど、実態に合わせてアレンジしてください。
準備
6つのカテゴリーごとに5種類の問題をAETと分担して準備
AETの出身地にまつわるカテゴリーを入れるのがおすすめ
100ptsは簡単な問題、500ptsは一番難易度を高くする
問題作成の時間がないときは、コチラからサンプルをダウンロードできます。
5つのカテゴリーで作ってあるので、参考にしてみてください。
次の表を黒板に準備
何度も使用する予定があれば、ラミネートして裏にマグネットをつけたポイントカードを作っておくと準備が楽で、そのまま得点表に移していけるのでおすすめ
Major League Baseball | America | World’s Top 3 | Environment | Japanese food | World Heritage |
100pts | 100pts | 100pts | 100pts | 100pts | 100pts |
200 | 200 | 200 | 200 | 200 | 200 |
300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 |
400 | 400 | 400 | 400 | 400 | 400 |
500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
groupA | groupB | groupC |
groupD | groupE | groupF |
ゲームの進め方
①クラスを5−6グループに分ける。時計回りなどで一人ずつに番号を振っておく。解答はグループで相談してよいが、解答するのは番号順としておくと、同じ生徒ばかり解答しないで済む。
②最初の解答権はジャンケンやくじで決める。
③解答権のあるグループはカテゴリーとレベルポイントを選び、AETが問題を読み上げる。
④正解なら、得点表にポイントを加算していく。不正解なら、他のグループに解答権が移る。
③〜⑤の繰り返し
※その他、全てのグループにホワイトボードを配り、一斉に解答を書かせておくという方法もよい。
AETへの依頼内容
- ゲームの説明をし、カテゴリーとポイント表を見せるとよい。
- カテゴリーごとに5つの難易度を設定して問題を作成することと、使用して欲しい言語材料や文法事項(基本文など)があれば明確に伝える。
- 余裕があれば、解答の補足としてパワーポイントなどで画像を用意してもらうのもよい。
ネイティブと、英語学習者では難易度の感じ方に相違がある場合も。事前にAETに作成してもらった問題をチェックできるといいな〜。
Typhoon Game タイフーンゲーム
タイフーンゲームも、グループに分け、問題に解答し、示された得点をもらう点で、ジェパディゲームと似ています。違いは、問題をカテゴリーに分けて作成しなくて良いこと。カードを引くのは正解した場合のみです。
そして、”Typhoon” カードを引いてしまったら特典がゼロになってしまう、というルールにより盛り上がった雰囲気になりやすいゲームです。ですから逆に問題はシンプルで難易度を低めに設定し「チャレンジ」というよりは、「復習」に重点を置くとバランスが良くなります。問題には正解してもらった方がゲームの流れがよくなるからです。
準備
36問ほどの問題を作成
問題は復習の要素を強くするのがおすすめ。
カードは36枚準備。表は白紙でも良いし、生徒の好きなキャラクターなどをつけても良い。
36枚をたとえば次のように分けてポイント数などを書いておく。
6枚…5pt、6枚…10pts、6枚…20pt、6枚…50pts、6枚…100pts、
4枚…Tマークあるいは台風のイラスト、2枚…スイッチマークや横取りマーク
ラミネートして裏にマグネットをつけたポイントカードを作っておくと何度も使えて便利
カード作成の時間がないときは、コチラからカードサンプルをダウンロードできます。
次の表を黒板に準備
36枚のカードをランダムに貼っておく。ポイントが書かれた方を黒板側に貼って見えないように。
A | B | C | D | F | |
1 | |||||
2 | |||||
3 | |||||
4 | |||||
5 | |||||
6 |
group1 | group2 | group3 |
group4 | group5 | group6 |
ゲームの進め方
①クラスを5−6グループに分ける。時計回りなどで一人ずつに番号を振っておく。解答はグループで相談してよいが、解答するのは番号順としておくと、同じ生徒ばかり解答しないで済む。
②最初の解答権はジャンケンやくじで決める。
③AETが問題を読み上げ、解答権のあるチームが解答する。
④正解なら、好きな場所のカードを選ぶことができる。”I want C3.” などと言う。
⑤生徒が選んだカードを裏返し、出てきた得点をチームに加える。
※Typhoonカードが出たら、解答したチームと、他のチーム全ての得点が0に戻ってしまう。
※その他に「横取りカード」…好きなチームからポイントを横取りできる。
「スウィッチカード」…好きなチームとポイントを丸ごと入れ替えることができる。などを加えるのもおすすめです。
③〜⑤の繰り返し
AETへの依頼内容
- ゲームの説明をし、カードとポイント表を見せるとよい。
- 使用して欲しい言語材料や文法事項(基本文など)を明確にして、復習になる問題を作成してもらうよう伝える。(JETと分担するのが良い。)
- 余裕のあるAETならばカードの作成も依頼するか、手伝ってもらえると良い。
問題の難易度を調節すれば何年生でも楽しめる。
たとえば、What did you have for breakfast this morning?
など、クイズというより、英語の質問に正しく答えるスキルを
鍛えるものと捉えて問題を作るのがおすすめじゃ〜〜。
Translation Game 翻訳ゲーム
英語の聞き取り要素と、日本語⇄英語の訳を練習するゲームです。グループごとにお互いに支援しながら作文していきます。
冠詞や複数形なども厳しく判定することで、ライティング力も磨きます。
準備するものが少ない割に、しっかり活動時間を要する、ひとつ覚えておくと便利な活動です。
AETとJETの2人いることで、とてもスムーズに進行させることができるでしょう。
準備
生徒に書かせたい英文を10〜14ほど選定。(教科書やワークなどから選んでも良い。)
日本語、英語、英語、日本語のように交互に並べたものを2枚(AETとJET用)
A4の用紙に、番号だけ振った用紙をグループの数分コピー
1 | 日本語 | わたしは授業後毎日英語を勉強します。 |
English | I study English after school every day. | |
2 | English | Which do you like, dogs or cats? |
日本語 | あなたが好きなのは犬ですか、それとも猫ですか。 | |
3 | 日本語 | あなたのクラスには何人の生徒がいますか? |
English | How many students do you have in your class? | |
4 | English | Could you tell me the way to the station? |
日本語 | 駅までの道のりを教えてくださいませんか。 | |
・・・ | ・・・つづく |
ゲームの進め方
①クラスを5−6グループに分ける。時計回りなどで一人ずつに番号を振っておく。解答はグループで相談してよいが、解答するのは番号順としておくと、同じ生徒ばかり解答しないで済む。
②各グループに1枚ずつ、番号だけが振られた紙を配る。
③1番の生徒がJETのところに(紙を持たずに)集合し、最初の日本語の文を聞き、覚えてグループに戻り、1番のところにその日本語の文を書く。
④グループ全員で協力して、ミスの無いように英文に直し、できたら2番の生徒がその紙を持ってAETのところへ行く。
⑤AETは英文を添削し、間違っている部分があればやり直し。グループに戻ってもう一度直す。合っていれば、2番の英文を聞く。
⑥2番の生徒は、グループに戻ってからその英文をみんなに伝え、正しく英語で書く。次にグループで協力して日本語訳し、できたら3番の生徒がJETのところへ紙を持ていく。
⑦JETは日本語訳を添削し、間違っている部分があればやり直し。グループに戻ってもう一度訳し直す。合っていれば3番の日本語の文を伝える。覚えてグループに戻り、3番のところにその日本語の文を書く。
以下繰り返し
学年や進度、習熟度に合わせて英文の難易度と問題数を調節してね。
AETへの依頼内容
- ゲームの説明をしておく。
- 使用して欲しい言語材料や文法事項(基本文など)を明確にして、復習になる英文を作成、または教科書などから抜粋してもらうよう伝える。
- 日本語訳はJETがする必要があるので、英文をAETに依頼する場合は早めに依頼しておく。(または、説明だけしてJETが全て準備しておいてもよい。)
- 英文の添削をどこまで厳密にするか確認しておく。